手術後の出血や血腫のトラブル
手術後の出血は患者様にとって、とても驚かれるものかもしれません。ですが現代のワキガ・多汗症治療では、危険を伴うような大量の出血が術後に起こることはまずありません。また患部にあてたガーゼにじわじわとしみ出す程度の出血であれば、あまり心配することはないでしょう。
ただ、傷口が塞がった状態で皮下の出血が進むと、それがやがて血腫となるケースがあります。皮膚の外へ流れ出てくれれば問題ないのですが、それが皮下にとどまってしまうと、雑菌による感染、さらには皮膚の壊死といった深刻なトラブルにつながる可能性があるのです。もしもそうした状態であれば医師の診察を受け、適切な処置を施す必要があります。
術後の患部からの出血や血腫は、ワキに無理な力が加わったり、圧迫が充分でなかったりした場合に起こりやすいトラブルです。少々の出血ならば心配いりませんが、判断がつかなければ、まず医師に相談することをお勧めします。
患部が化膿してしまうケースは
皮膚を切開する手術では、どうしても化膿の危険が高くなります。これは傷口から皮下に侵入した雑菌が原因です。患部が化膿してしまうと皮膚にも皮下組織にもダメージが加わりますし、患部がじくじくとしてなかなか回復してくれません。さらに腫れや発熱といった症状に発展することもありますから、できる限り防ぎたいトラブルです。
化膿は患部を清潔に保つことで、かなり防ぐことができます。ワキはただでさえ汚れや湿気がたまりやすく、雑菌が繁殖しやすい部分です。ですから患部の状態がある程度落ち着いてきましたらワキをきちんと洗い、清潔を心がけるようにします。もちろん必要以上の刺激は禁物ですが、汗や垢を洗い落とし、清潔を保つことは化膿を防ぐうえで重要です。
術後の経過については、しっかりと理解を
痛み、発赤、腫れ、発熱、患部の化膿。これらは皮膚に手を加える外科手術では、よく見られる術後の症状です。必ずというわけではありませんが、手術のあとにはこれらの症状が起こりやすいものです。そのため術後の経過や起こりうる症状、またそれらの症状が起こったときの対処について、医師やスタッフから詳細な説明を受けるはずですので、これらはしっかりと理解しておいてください。術後に各症状への対処法を記したプリントやパンフレットを手渡してくれるクリニックも多いので、これらは必ず目を通し、保管しておきましょう。
また術後に化膿止めや痛み止めの薬を処方された場合は、適切に服用するようにしてください。いずれも術後の経過を助け、回復を早めるために必要なものですから、我慢したりせず、有効に活用しましょう。そしてもしも不安を感じたときや、ご自身で判断がつかないような場合には、ためらわずに医師に相談してください。心配ないと判断されればそれで良し、もしも加療が必要だと判断されたら、早めに治療を受けるようにしましょう。
ワキガ・多汗症治療は手術を受けた時点で終わるものではありません。それは「途中経過」に過ぎないのです。術後の経過を良好に保ち、無事に回復して初めて、治療が完了したといえるのです。それまでは決して油断せず、経過を見守るようにしてください。
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